読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2週間。

 上長に『会社辞めますよ〜♪』と伝えてから2週間ほどたちます。

 それをきいた係長はイナバウワーをしながら頭を抱えていましたが、当時『楽天スーパーセール』の真っ只中だったので、正直頭を抱えたいのはこっちのほうでした。

 にくい……。

 にくい……、春の引っ越しシーズンにセールをぶつけてくる楽天がにくい……。

 おかげさまで1と1の倍数の日にちにアホになるような生活をおくりました。

 セールの影響がようやく緩やかになってきたのが10日ほど前。

 同僚のひとりが左手首を骨折しました。

 まさか、まさかです。

 自分の仕事がこれ以上忙しくなるとは考えもしませんでした。

 彼をフォローする体制が整うまでの数日、ルーベンスの絵をみたネロのような気持ちで仕事をしました。

 が、それから更に5日ほどたった先日、さらに怪我人が……。

 怪我をした同僚のフォローのためにきてくれた人が、階段から落ちて肋骨を折りました。

 ……。

 フォローに次ぐフォロー……。

 その日、おれは第七感に目覚めました。

 仕事でつかう携帯端末を確認すると、1時間あたりの荷物取り扱い個数が、これまで限界だと感じていた数の2倍に……。

 ただ、その夜は食事をとる元気すらなく就寝……。

 翌日、猛烈な吐き気と筋肉痛が。

 あかん、これ、多用したら命を縮める系のスキルや……。

 ビアズ・アンソニイの魔法の国ザンス・シリーズ『カメレオンの呪文』で、主人公の少年は『全ての魔法の力を打ち消す』という力を持っています。

 物語中で、主人公の能力について話がおよぶと、様々な事件が起こって魔法の力が発覚しない様になります。

 なんとなくそれを思い出しました。

 おれが辞める決意を強めれば強めるほど、グレート・スピリット・オブ・サガワが辞められないような状況を作り続ける……。

 係長のイナバウワーは、頭が地面についてただのブリッジになりましたが、おかげで離職交渉は遅々としてすすみません……。

 ああ……、嘆きの壁がみえる……。