地すべりの名所

 3日前、農家民宿の取材で上越市板倉区を訪ねたのだが、ここがなかなか面

白い歴史を持った田舎だった。親鸞の妻の故郷で余生も過ごした地というのは

いかにも北陸らしい話だが、それより興味深かったのは地すべりの歴史だ。長

野との県境にまたがる関田山脈は海底が隆起してできたもので、それほど古い

ものではない。まだ地質が安定しておらず、田畑が少しずつずれる地すべりが

続いているという。それを防ぐために直径3m50cmの穴を掘り、そこに水が

集まるよう細い管を横に何本も差し込む集水管を施工していた(=写真)。

 まあ、好ましい自然災害とは言えないが、それを大々的にPRしているのが

微笑ましい。山の中腹に日本で初めての地すべり資料館を建設し、映像メディ

アや模型、ゲームなどを通して地すべりの歴史、災害、防止工事などをわかり

やすく学べるようになっているのだ。それどころか、ゆるキャラの「じすべり

くん」までいるのにはびっくり。まさに自然災害を逆手にとった地域振興であ

り、そのユニークさに感心してしまった。

 地すべりに関するいろんな伝説もある。地元の人たちは先人から聞いた話を

紙芝居で伝える活動をしており、そのストーリーがけっこう悲惨なのだ。例え

ば、この村を訪れた僧侶が地すべりに悩む村人の話を聞き、自ら人柱となって

止めたという伝説がある。ただの作り話かと思いきや、昭和12年に土中から

大瓶に入った座禅姿の人骨が発見され、それを展示する人柱供養堂までできて

いるのだ。ちなみに、この地域には居住地では世界一深い積雪8・18mとい

う記録も残されている。いやー、すごい田舎だわ!

広告を非表示にする