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誕生日

 昨日の誕生日は、雑司ヶ谷にあるKY君ちに行ってきた。

 家を出る前、電話でお父様から、「背広を持って来い」とのお言葉があり、「何かに使うんですか?」と訊いたら、来れば分かるとのこと。

 杖を突いているので、片手に背広を持つことが煩瑣に思われたので、最初から着て行くことにした。

 いつもなら、雑司ヶ谷の駅までKY君に迎えに来て貰っていたのだが、今回は何故か池袋で待ち合わせ。

 待ち合わせ時間の十五分ぐらい前に、KY君一家が一同おめかしをしてやって来た。

「おお、着てきたのか。そのほうが面倒じゃなくていいな」とお父様。

「どこへ行くんですか?」との質問に、「写真を撮りに行くんだよ」と平然とした顔で云う。

 どうやら、写真館に行って、みんなの写真を撮るらしい。

 徒歩十分ぐらい歩いて写真館へ。

 アンティークな感じの店構えだが、使っているカメラは、当然デジタルと思いきや、なんと昔の中版カメラ。

 四人まとめて撮るというので、KY君のお父様、お母様は椅子に坐り、kY君と僕は背後に立つ。

 そのあと、お父様、お母様の2ショット。KY君と僕との写真、僕単体の写真も撮った。

「こんなことなら、床屋に行ってくれば良かったな……」

「このままのほうがいいよ、なんだか作家先生みたいだぞ」と、お父様。

「何だか全然嬉しくありませんね」

「ま、とにかく、みんな、良い葬儀用の写真が出来たじゃないか」

 最近、この手の話ばっかり。

 それから、西武百貨店の鰻屋に行き午食。

 僕とお父様は、鰻重、KY君とお母様は、お好み定食(鰻と天ぷら、茶碗蒸しが一緒に入ったやつ)。

 僕は胃が小さくなっているので、ご飯を半分にして貰う。

「あんまり食べ過ぎないでね、お夕飯、烏田さんのお誕生祝いなんだから」

 と、お母様。

「あなたも、あんまり飲み過ぎないで」と、お父様にもクギを刺す。

 ビールの入ったグラスを持っていた僕も、自然と手が止まる。

 そのあと、お父様、お母様と別れ、KY君とTSUTAYAへ。

妖星ゴラス」と「新・兵隊やくざ」を借りる。

 KY君ちに着き、ソファーで一休み。KY君もグッタリ気味である。

「何だか、疲れましたね」

「写真館で緊張したのが、良くなかったんじゃないか?」

「まさか」

「だって、撮るとき鼻の穴が広がっていたぞ」

「嘘ですよお、そんなの」

お父様がシャワーから出てきたので、DVDを観る。

妖星ゴラス」。地球に黒色矮星(こくしょくわいせい)ゴラスが近づいてきて、衝突を切り抜けるため、全世界の科学者たちが集まって、南極に巨大なロケットを造り、地球の軌道を変えるという話。円谷英二の特撮が冴えるSF大作。

 KY君、「ぶつかりませんよねえ、ぶつかりませんよねえ」と煩い。

「観てれば判る」と、お父様。

 僕の感想はというと、とにかくお金が掛っている映画だなあ、というミミッチイものだった。

 二本目「新・兵隊やくざ」。インテリ上等兵と、やくざな一等兵とのコンビが軍隊に嫌気が差し、脱走を繰り返すという話。こういう映画は、ただ観てアハハと笑っていればいいので、気が楽だ。

 遅い夕食、すき焼き。今日はご馳走ばかりだが、何だか最後の晩餐みたいだなあ。

 誕生日プレゼントに、お父様とKY君よりロットリングの万年筆を貰ってしまったが、これで何か書けという謎掛けじゃないだろうな。

 お母様には、真っ黒な色のカーディガンを貰う。軽くて、暖かい。重宝します。

 モロゾフのチーズケーキを肴に、ウイスキーを飲みながら、いつものお父様の説教タイム。

 ナルホド、ゴモットモデスと思いながら拝聴する。

 僕の希望で、一番最後に風呂に入り、KY君のベッドに寝かして貰う。

 KY君は、客間で寝るようだ。

 睡眠薬を持って来なかったので、パソコンでミクシーをする。

 それにしても、と思う。それにしても、充実した誕生日だったなあ。