sheepdancer17話蠍

キタダの一撃を止めた刀それを握っていたのは、赤い装甲の男。

あんたら、何が目的だ?

男が問う。

だんまりか。ん?ああなんだ、あの基地からの追っ手か。

男はキタダの装甲の胸元のマークを見て言った。

そして男は器用にキタダの大剣を鏡からずらした。全て片手で刀を操って。

キタダは大剣を構え直すが、男はすでに刀をしまっていた。

あんたらに1つ、忠告。もうこの戦争には首を突っ込まない方がいい。

何を。

何をって、あんた。今の状況をみれば一目瞭然でしょうよ。それに、この戦争の黒幕はあんたらが思っているよりはるかに強大だ。

なんだい?

1つ質問がある。

いいよ、答えられればね。

戦争ってどういう事だ

まさかそこまで無知なのかい?これは困ったなぁ。

いいから教えろ。

要するに、これは人間対羊の戦争なんだ。羊は確実に俺らの命を狙ってる。

その言いぐさ、お前は人間なんだな?

僕は1つしか質問がないと聞いたけど?

やりずらい。なんと言うか、悪気はなさそうだが、癪にさわる。しかし、自分達では知り得ない情報を持っているのも確かだ。

ちなみに言うけど、これの黒幕は君達もよく知る人物だ。

知ってるだぁ?

ああ。だからこそ、関わるべきじゃない。鏡、ここはもう捨てるよ。

了解です。蠍さん

そう言って鏡はその部屋の壁に見えていたが、実際は鏡だった。それを動かし、去っていった。

名乗ってなかったね。僕は蠍。まぁ、もう会わないことを祈るよ。

蠍はキタダの肩をぽんと叩き、背を向けて歩き出した。

待て。

キタダは大剣を蠍の背中に向けた。

昨夜の落し前、つけてもらおうか。

ゆっくりと蠍が振り返る。そしてキタダと向かい合った瞬間だった。

ギィン

と音を立てて、キタダの大剣が吹き飛ばされた。

鬼蜻蜒

蠍がつぶやく。右手は刀を横に振ったような形で伸びきっていたが、手元には刀はなかった。

抜刀で?大剣を?それより、こいつも得物が飛んでんだ。爆薬で

キタダさん!右!

ケイの声が聞こえたが、気がついたときには既に腹部を切られていた。装甲のお陰か、死にはしないだろう。だが今はもう

なんでだ

気ぃ失う前に聞いとけ。俺はしつこいやつが大嫌いなんだ。

彼の、蠍の口調は先程とは違い、激しいものになっていた。キタダはその言葉を聞き終えるか終えないかのところで気を失った。

お前らもやるか?

蠍はシンバシとケイを見るが、どちらも鏡の攻撃をまともに受けてしまい立つことすらままならない。フクムラも既に気絶している。

お前らは聞き分けが良いみたいだな。

すると、蠍はケイに近寄り、装甲に触れ、去っていった。

こちら、グループA支援を要請する

シンバシの方から声がしたがそこで記憶が途絶えた。

目を覚ますと、そこは

紛れもない、アローンの病室だった。あのときと同じだ。しかし今回はキタダどころか誰もいない。体は痛むが、仕方がないので病室を出ることにした。

ベッドの横には私物着替えと携帯端末があった。携帯端末は通知があることを示すランプが点滅していた。

開くと

キタダ、シンバシ、フクムラ、ナンバの4名は目が覚めたら各自私の部屋に来ること。ナナセ

と書かれていた。

私服に着替え、ナナセの部屋に向かった。そこには既にシンバシとフクムラがいた。キタダの姿はなかった。

来たか。ご苦労だったな。

どうした?嫌になったか?

ナナセがからかったような声で尋ねる。

いやキタダさんは?

奴はまだだ。何分、あいつが一番ひどかったからな。心配するな、死んでない。

あ、はぁ、なら良かったです。

すると、扉が勢いよく開かれる音がする。

偵察隊、帰還いたしましたぁ!

明るい女性の声がした。振り返ると、そこには中学生位と思わせるような容姿の女性が立っていた。

ケイと彼女は目を合わせ、互いにきょとんとした表情をした。