第88話これもまた、運命その23

お前、いつの間にこんなにサッカーがうまくなっていたんだ?

練習後、私は早速長男に聞いてみた。前のサッカーチームではレギュラーもとれずにパッとしない選手だと思っていたのに。

ボクね、いつも一人で練習していたんだ。前のチームでは病気だから無理させられないって言われて、試合も出してもらえなかったから。それがくやしくて、ずっと一人でドリブルの練習をしてたんだ

この言葉に、私はハッとさせられた。まさに自分の信念を貫き、運命を自らの手で切り開いているではないか。

私は長男の身体が弱いのは運命だと思ってあきらめていた。そのことを長男にも言い聞かせるように伝えていた。諦めたらそれで終わり。そういう人生をつくったのは、まさに自分自身である。私は間違ったことを長男にさせようとしていたのだ。

家に帰ると、さらに驚いたことが起きていた。

おかえりなさい

なんと、長女が夕飯を作って待ってくれていたではないか。今までこんなことしたことがなかったのに。

おい、これ、どうしたんだ?

えへへ、ちょっとね

なんだかにやけている長女。何があったのだ?

あ、おねぇちゃん、ひょっとしたらうまくいったんだ